朝ご飯を食べないと逆に太ると聞いたことがありますか?
これは私がトレーナーを始めた頃、全てのお客様に口を酸っぱくして言っていた事です。
エネルギーが必要となるトレーニングの観点から言えば間違いないですし、健康習慣にも繋がると考えていました。
しかし、最近の研究で空腹が内臓脂肪を減らすことが分かってきました。
また、現代人は常に食べ物が手に入る環境によって内臓を休ませる時間を失っているのです。
今回は、空腹時間を作ることでダイエットも健康も両立できる方法をご紹介したいと思います。
内臓リズムと時間
私達の体の中には体内時計が存在しています。この時計のお陰で、日中は活動したり、夜間は休息できるというわけです。これをサーカディアンリズムといいます。
このサーカディアンリズムが乱れると、朝になかなか起きれない、食欲がない、ストレスを感じるなど体調不良や自立神経が乱れに繋がることもあります。
なのでサーカディアンリズムは健康を保つ上では、無視できないものなのです。
そしてここからが重要なのですが、内臓個々にも独自のリズムがあるのです。
例えば、小腸は午後1~午後3時が一番活発に活動する時間であるため体は消化にエネルギーを集中します。大腸は午前5時~午前7時が一番活発になるため排泄に適した時間になります。そして午後8時~午前4時までは各臓器も細胞の修復やエネルギーを蓄えるために休むのです。
まとめると
- 午前4時〜正午までは「排泄時間」
- 正午〜午後8時までは「活動と消化時間」
- 午後8時~午前4時までは「吸収と回復時間」
この内臓時間から考えると、食事は正午~午後8時までに取ることが一番良いと考えられるのです。
空腹が必要な理由
では、ここからなぜ空腹時間が必要なのかについてご説明します。
まず現代人は、慢性的に食べ過ぎだと考えられるからです。
そもそも1日3食には科学的根拠が存在しません。
日本で朝食の文化が広まったのは江戸時代の中期とされており、世界的にみても早かったと言われています。これは、江戸時代の中期以前よりも労働時間が増えたことが理由だとされていますが、そもそもこの時代の労働とは肉体労働が基本であり、それだけ運動量による消費があったと考えられます。
しかし昭和に入り経済の成長とともに、人の活動は肉体労働から知的労働へと急激な変化を遂げ消費するエネルギー量は確実に減少しました。また食べ物の質も100年前とは大きく変わり、同じ食事量から得られるエネルギー量は増大しています。これは明かに食べすぎだと言えます。ただし、十分な栄養が取れているかどうかは別の話です。
そしてこの慢性的な食べ過ぎは内臓に大きな負荷をかけています。先ほどの内臓時間の話からもわかる様に、内臓の細胞も回復の時間が必要です。
しかし現代は忙しい生活の中で夕食の時間は遅く、朝は早くから活動することを求めてられて内臓は休む間もなく働き詰めです。睡眠で休んでいるように見えて、実は休めていないのです。
人の基礎代謝の40%は内臓で代謝されます。疲弊した内臓では、代謝も適切に行われずらくなり余分なエネルギーは脂肪として体に蓄積されていくのです。
最後にオートファジーの問題です。これは細胞がより良い状態でいるのに必要な自食作用のことです。細胞が古い細胞や細胞内の余計なものを、自己で処理しようと働く訳です。ただこの作用は飢餓状態でも生き抜くために必要な作用でもあるため、エネルギーが飽和状態ではこの作用が低下してしまいます。
すると食欲抑制ホルモンであるレプチンの量が少なくなり食欲の暴走に繋がります。
またオートファジーは、脂肪代謝の要であるミトコンドリアが適切に働くのに必要なため、オートファジーの低下は代謝の低下に繋がります。
このように現代人の食べすぎは肥満となる要素を多く含んでいるのです。
だからこそ空腹時間が必要だと考えられます。