ここ最近、女性のお客様からのタンパク質に関する質問を受ける機会が増えました。少しづつ、極端なカロリー制限や偏った食材を使ったダイエット法よりも、健康的なダイエットに目が向けられるようになった証拠だと思っています。
ただタンパク質を摂ることだけに目が行ってしまい、なぜタンパク質を摂るのかを理解していないと摂るタイミングや食材を選びを間違えて本末転倒の可能性もあります。
そこで今回は、ダイエット中の女性向けにタンパク質についてまとめてみました。
タンパク質の重要性
まずは、タンパク質の重要性についてお話しします。
そもそもタンパク質は、糖質、脂質とともに人間のエネルギー源である栄養素の一つです。
しかしタンパク質のエネルギー源としての役割は、糖質や脂質の2つの栄養素よりも小さく、注目すべき点はそのほにあります。
タンパク質が体を作る材料になることは、よく知られています。代表的なものと言えば筋肉です。また皮膚や爪、髪もタンパク質でできています。そのほか体の調子を整えるホルモン、消化をコントレールする酵素、ウイルスと戦う抗体もタンパク質です。
体で水分を除くと、その半分がタンパク質だと言われるくらい細胞の多くはタンパク質でできています。このタンパク質が不足すると筋肉が少なくなったり、体全体の機能低下につながります。
特にタンパク質が不足しがちな女性は、筋肉が少なく代謝が悪かったり、ホルモンバランスが崩れやすい、爪が割れやすいなどの症状を訴える方も少なくありません。
また近年では、タンパク質と食欲の間に重要な関係があることもわかってきました。
それは食欲が、タンパク質の摂取によってのみ止まると言うことです。
そもそも自然界において糖質や脂質はタンパク質よりも貴重です。そのため体はある程度、安定的に補給できる栄養を中心とした構造や機能を備えたのではと考えられるのです。
そのためダイエット中の女性にとってタンパク質は、単なる栄養補給のものではなく、根本的にリバウンドを防ぐ、強い味方になる可能性があるのです。
甘い物がやめられなくてリバウンドを繰り返しているという人は、ぜひ積極的に摂って頂きたいと思います。
動物性と植物性タンパク質のどちらが良いか?
先の話でタンパク質の重要性は理解して頂けたと思います。でもひとくちにタンパク質と言っても肉や魚などの動物性タンパク質と、豆腐や豆などの植物性タンパク質があり、何を食べて良いかわからない人もいるでしょう。
答えから言うと「バランス良く食べて下さい」です。
そんなのあたり前だと思うかも知れませんが、両方ともにメリットとデメリットを知れば、お分かり頂けると思います。
そこで動物性タンパク質と植物性タンパク質のメリットとデメリットをみてみましょう。
主に両者の違いは必須アミノ酸のバランスです。
アミノ酸とは、タンパク質を分解していったときの最小のもので20種類存在します。その内、体内で作ることができない9種類を必須アミノ酸と呼びます。この必須アミノ酸は一つでも欠けるとタンパク質を作ることができないためバランス良く含まれていることが重要なのです。そしてこの必須アミノ酸のバランスをわかりやすくしたものを「アミノ酸スコア」と言います。
動物性 | 植物性 |
牛肉:100 | |
豚肉:100 | |
鶏肉:100 | |
イワシ:100 | |
鮭:100 | |
卵:100 | |
牛乳:100 |
このよう動物性タンパク質も植物性タンパク質も食材を選べば、必須アミノ酸のバランスは問題ありません。
ただし「アミノ酸スコア」は、あくまでもバランスによるものです。実際に必要量のタンパク質を摂ることを考えると別の問題が生じます。
例えばとり胸肉と大豆で同じ20gのタンパク質を摂ろうとすると、とり胸肉は95gに対して豆腐は350g(1丁)が必要になります。1食で豆腐1丁を食べるとなると、それだけでストレスになりそうです。
このように動物性タンパク質はタンパク質の含有量が多く効率的にとれることが最大のメリットです。
ただしデメリットもあります。動物性タンパク質は種類によっては脂質も多く含んでいるため、十分なタンパク質を摂ろうとするとカロリーオーバーになってしまう可能性があります。そのため食材を選びときは、脂身の少ない部位を選んだり調理法で脂を落すなど工夫が必要になります。
逆に植物性タンパク質は含有量は少ないというデメリットはありますが、脂質が少なく食物繊維も入っているため腹持ちが良いなどのメリットもあります。そのためダイエット中や減量目的の場合は、強い味方であると言えます。
そして植物性タンパク質を語る上で忘れていけないのが、イソフラボンの存在です。
イソフラボンはマメ科の植物に多く含まれるもので、特に大豆に含まれる大豆イソフラボンは「植物性エストロゲン」とも呼ばれています。
エストロゲンとは卵巣から分泌される女性ホルモンのことです。女性特有の妊娠・出産の体のコントロール、骨や肌を作ったり自律神経の安定に関わるホルモンです。
大豆イソフラボンはこのエストロゲンによく似た構造をしており、エストロゲンの不足を補う効果が期待できるのです。ただし、エストロゲンの分泌が増える時期に摂りすぎるとエストロゲンの作用を阻害することもあるので、注意が必要です。
このように動物性も植物性もそれぞれのメリット、デメリットがあるため一概にどちらかを選ぶ事はできません。ただ、目安ととしてダイエット中は植物性タンパク質を中心に、プラスαで動物性タンパク質を摂ることがおすすめです。
タンパク質が苦手ならプロテインがおすすめ
女性の中には肉や魚などタンパク質を摂るのが苦手な人も多いでしょう。かと言って豆腐や卵もそんなに多く食べれないと言う人は、プロテインがおすすめです。
ひと昔前までは、プロテインは飲みにくいイメージでしたが、現在は女性でも飲みやすい商品も増えています。
また動物性タンパク質のデメリットだった脂肪の多さや、植物性タンパク質の含有量の少なさをカバーしている商品も多いので、手軽にしっかりとタンパク質と摂ることが可能です。
プロテインには、牛乳を原料とするホエイプロテインとカゼインプロテイン、大豆を原料とするソイプロテインがあります。
1.ホエイプロテイン
タンパク質の含有量が高く、吸収スピードも早いため効率よく筋肉の回復を行うことができる。製法の違いにより多少の差はでるが、主に激しいトレーニングや身体作りの目的で、トレーニング直後の補給に向いている。
2.カゼインプロテイン
乳タンパクからホエイと脂肪を取り除いた残りのタンパク質。ホエイが水溶性で吸収が早いのに対し、不溶性で吸収がゆっくりしているのが特徴。腹持ちがよく、満腹感を感じやすい。またグルタミンを多く含み、筋の分解を抑制したり免疫が下がるのを抑える効果もある。減量中の食事コントロールや夕食後のタンパク質補給としての使い方が向いています。
3.イソプロテイン
大豆を原料とするプロテイン。食物繊維も多く含むため消化吸収はゆったり行われる。大豆イソフラボンもしっかりと入っているため、皮膚や骨の強化、自律神経の安定などの効果も期待できる。価格は他のプロテインと比べると比較的安価である。朝食や夕食の栄養バランスの補助、ダイエット中の食事コントロールとしての利用がむいています。
初めて飲む方は、飲みやすく種類も豊富なホエイプロテインから始めると良いでしょう。そして慣れてきたら、飲むタイミングによって選べるようになるとベストです。昼と夜で使い分けるのもおすすです。
また最近ではプロテインを使ったスイーツもたくさんあるので、一度検索してみても良いかも知れません。
ビタミン&ミネラルも一緒に摂ろう!
最後にせっかく摂ったタンパク質を無駄にしないために、ビタミンB6についてお伝えします。
ビタミンB6の働きは、タンパク質代謝酵素のサポート、神経伝達物質の合成、ホルモン作用の調節や脂質の代謝など様々な働きをもっています。
またビタミンB6はエストロゲンと深く関わっており、B6が不足することで月経前症候群(PMS)の原因になったり、妊娠中のつわりを引き起こす原因になると言われています。
基本的にB6は腸内細菌によって体内でも作られるため、不足することは無いと言われています。しかし暴飲暴食や抗生物質の服用なので腸内細菌がダメージを受けることで、体内での生産が難しくなり不足することがあります。
またタンパク質の摂取量を増やせば、おのずとB6の必要量も増えますので通常よりも意識的にとるようにしましょう。
食事のバランスが偏りやすい女性は、特に気をつけて頂きたいと思います。
まとめ
今回の記事は如何でしたか?
タンパク質がダイエットにとって良いことは理解できたと思います。
ただ栄養というのは1つを多くとれば良いわけではありませんので、バランスを忘れず活用することが大切です。
この記事がお困りのあなたのお役に立てれば幸いです。
