
あなたはミトコンドリアというものをご存知ですか?

何となく緑色の虫のようなものを想像した人もいるでしょう。学生時代の生物の授業でも紹介されていたのを覚えています。
近年このミトコンドリアが、30代以上のダイエットの考え方を大きく変えるキーマンになっているのです。
ミトコンドリアの研究により、歳をとって太りやすくなる原因や瞬発力を必要とする運動が苦手になる理由が次々と分かってきたのです。
今回は、その30代以上のダイエットのキーマンであるミトコンドリアについて解説し、味方につけることで代謝を上げて無理のないダイエット法をご紹介します。
ミトコンドリアとは
はじめにミトコンドリアとは何なのかご説明しましょう。
☞ 動物、植物、細菌などの真核生物と言われ生物の細胞の中に存在する細胞小器官
です。
独自のDNAを持ち、分裂、増殖も行うことができます。
これは太古の昔、ミトコンドリアが独立して生きるバクテリアだったときの名残だと考えられます。
生物の祖先は、このバクテリアを取り込み共生し、呼吸によって有機物(アミノ酸など)に蓄えられたエネルギーを利用することが可能になりました。
現在でも、ミトコンドリアは細胞内で食事から得た栄養と呼吸から得た酸素をあわせ分解する事でエネルギーを作り出すことができます。
そして最終的には水と二酸化炭素まで分解し吐き出す、とてもエコなエネルギーシステムなのです。
ミトコンドリアの身体における働き
ではミトコンドリアは体の中で、実際にどのような働きをしているのでしょう。
① エネルギーを作り出す
まず一番大きな働きはエネルギーを作り出すことです。人は、他にもエネルギーを作るシステムを持っていますが、作りだせる量が圧倒的に多いのです。しかも、先ほど説明したようにとてもエコなエネルギーシステムなので身体にとっても負担が少ないと言えます。
そしてミトコンドリアはエネルギーの他にも「鉄-硫黄クラスター」という物を作っています。これは細胞の中で働くいろんなタンパク質に必要なものです。これがないとタンパク質が上手く機能できないため細胞が生きることができません。
② カルシウム濃度の調整
次に細胞内のカルシウム濃度の調整です。これはミトコンドリア障害の研究から分かったことですが、ミトコンドリアに障害がおこると細胞内のカルシウム濃度が上昇し筋細胞の崩壊を起こします。これにより筋肉の活動にもミトコンドリアは関係していると言えます。
③ アポトーシス誘導する物質を出す(難
最後にアポトーシスを誘導する物質を出す事です。アポトーシスとは、意図的に起こされ細胞の死です。これにより日々作られている癌細胞や異常を起こした細胞を除去することができます。アポトーシスがないと体を良好に保つことができないため、健康的な体を保つためにもミトコンドリアは必要なのです。
30代から変わり体のエネルギー供給!
次になぜ30代からミトコンドリアが重要になるのかについて解説していきます。
先ほど何度か説明しているように、人のエネルギー生産システムは2つあります。
一つは「解糖」と呼ばれる糖質を利用するものと、細胞内でミトコンドリアが栄養素と酸素を結びつけて作る「ミトコンドリア系」の二つです。
それぞれメリットとデメリットがあるため基本的にはどちらも必要なシステムなのです。
「解糖系」はエネルギーを作るスピードが早いため瞬発的な動きや、無酸素運動で利用されます。ただし、一回で作れる量がとても少ないので長時間の利用はできません。
逆に「ミトコンドリア系」は、エネルギーを作るスピードは遅いのですが、一回で作れる量がとても多いので、長時間の運動や有酸素運動に向いています。
ここからが重要です。
人は生まれてから20代までは「解糖系」のエネルギーシステムの利用率が高く、30代を境に40代以降は「ミトコンドリア系」の利用率が高まります。
これはミトコンドリアが細胞の中にある事と関係しています。細胞の成熟していない20代までは十分なエネルギー供給ができないため、「解糖系」の利用率が高いのではないかと考えられるからです。そして細胞が成熟する30代から段々と「ミトコンドリア系」の利用率が高まり、40代で逆転するのです。
これが30代でエネルギー供給が変わる理由です。
という事は、どれだけエネルギーを使えるかが大事なダイエットにおいて、20代までと30代以降では重要なことが変わります。
ミトコンドリアにどれだけ仕事をさせられるにかかっているのです。
ただしミトコンドリアのエネルギー効率は、そもそも高いシステムなのでこれ以上の効率を求めるのは厳しいと思います。だとすれば、よりミトコンドリアの数を増やすことはできないかと考えるのです。
ミトコンドリアを増やす事は可能です。
ミトコンドリアを増やす方法
では本題のミトコンドリアを増やす方法をお伝えします。
1:ゆっくり運動する
ミトコンドリアは全ての細胞に均等にいるわけではありません。特に、脳、内蔵、筋肉に多く存在するのです。脳や内臓を増やすことはできませんが、筋肉の量は増やすことができます。けれど筋肉もただ増やせば良いわけではありません。持久力に強い赤筋を増やすことが大切です。そのためには、ゆっくりとした運動が向いているのです。
2:肌寒い環境に慣れる
寒い時期になると服を着こんで寒いに耐えようとします。しかし体にも、天然の熱供給システムが存在するのです。それが褐色脂肪細胞です。褐色脂肪細胞は寒さを感じると細胞内のミトコンドリアにエネルギーよりも熱を作るように働きかけます。すると褐色脂肪細胞内のミトコンドリアは脂肪をどんどん燃やして熱を供給しはじめるのです。
この褐色脂肪細胞は年齢と共に減っていきますが、適度な刺激を与えることで増やすことができます。例えば、唐辛子を食べ続けてカプサイシンの刺激によって褐色脂肪細胞が増えたという研究もあります。
ただし現実的な方法で考えるならば、少し肌寒い環境に慣れることではないでしょうか。
3:よく噛んで食べる
これも褐色脂肪細胞を増やす方法です。よく噛むことで、刺激が脳に伝わり交換神経を活発にし、それが褐色脂肪細胞を増やすと考えられます。ゆっくりと時間をかけて食べることで血糖値の上昇も抑えられのでWの効果で痩せやすくなります。
まずはこのポイントを押さえて、ミトコンドリアをダイエットの味方につけましょう。
まとめ
今回の記事は如何でしたか?
30代以降は少ない食事でもエネルギーがたくさん作られることは、ある意味良いことだといえます。
食事を気をつけることは勿論ですが、体の変化を中から理解し、無理のないダイエットを目指しましょう。
この記事がお困りのあなたのお役に立てれば幸いです。
